2015/09/08
文/野岸 泰之 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
元バイク買取業者のX氏に、買取り業界の裏話をあれこれ聞くこのシリーズ。今回は「査定員と心を通わせれば、査定額アップもあり得る!?」なんて話を中心に、買取査定時の交渉テクニックについて聞いてみました。。
─早速ですが、“査定員の心をつかむ”ってどういうことですか?
まず大前提となるのは、査定員は1日に何台も買取査定を行っており、“買取ってナンボ”の世界に生きている、ということ。ですから、お客さんとはできるだけスムーズに取引を済ませ、さっさと次に行きたいわけです。(昔のように)粘ったり居座ったりして時間をかける、なんてパターンは流行りません。そこで大切なのは、お互いのコミュニケーションなんです。
─具体的にはどうすればいいんでしょう?
査定員も人間ですから、ケンカ腰や高飛車な態度を取られると面白くないわけです。人として普通に接してくれればいい。さらに、たとえば雨が降っている日なら傘を差し出してくれるとか、暑い日なら冷たい缶コーヒーを用意しておいてあげるなど、ちょっとした心遣いをしてあげるだけで、嬉しいものなんです。
─それが査定額アップにつながるんですか?
“可能性”はあります。査定員というのは、売り手が期待するよりも低い査定金額を伝える必要があるなど、時にはお客さんに嫌がられることも言わなきゃならない。もともとそれは言いにくいんですが、お客さんから親切に対応されると、余計に言いにくくなってしまいます。人間ってそういうものじゃないですか? だから「いいお客さんだし、悲しませたくないから、もうちょっと頑張ろうかな」と思っても不思議じゃない。逆に横柄なお客さんだと「コノヤロ、厳しくいくぞ」なんて思う査定員も中にはいるでしょう。
─ほかに、査定員が“グッ”とくることってなにかありますか?
スムーズな取引を実現するには、まず売る側と買う側がお互いにきちんと話のできる環境を整えてあげることが大切です。買取業者はトラックに乗って来ることがほとんどですが、大通りに路駐したまま路地の奥で査定、なんてパターンだと、駐車違反が気になってじっくりバイクを見ることも出来ず、おざなりな査定になることもあります。ですから、あらかじめ近くのコインパーキングを調べて教えてあげるなどすれば、喜ばれますね。
マンションの場合でも、管理人さんに一声かけておいて、トラックの駐車スペースを確保しておいてもらえると「いいお客さんだな、頑張っちゃおうかな」と思うものなんです。査定員の気持ちになって考えてもらえれば、査定アップのヒントはいろいろあると思いますよ?
─なるほど、参考になります。
ちなみに査定依頼が重なると、まれにトラックが足りなくなる場合があります。そんな時、別の日にしてもらうと思いますか? いいえ、買取マンは決してそんなことはしません。私の場合、電車でヘルメットを持参して査定に出向き、買取ったバイクに乗って帰ってきたことがあります。買取業者はそこまでしてでも、とにかく買取実績が欲しいものなんですよ。